アメリカの国立公園に行くと、かなり頻繁に大型の動物に遭遇します。バンビの様な小鹿の類は、道路わきで草を食んでいるところを、いつでもどこでも見かけます。

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イエローストーンで有名な、ロードブロックと呼ばれる、バッファローによる交通渋滞

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近くで見かけることは稀ですが、熊もかなり頻繁で出没します。早朝や夕暮れ時は動物が活発に動く時間なので、林の中を目を凝らして探すと、思わぬ動物を見ることが出来ます。

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グリズリーとブラックベアーの大きな違である背中のこぶは見えないが、耳が尖りめで鼻先が反っていないのでブラックベアー?

国立公園に泊りがけで行くときには、ほぼ毎朝、早起きして動物探しに出掛けます。 広範囲を探す場合には、家族を無理やり起して車に乗せ、徐行で水場の周りなどを。または、多少の危険は覚悟の上で、ランニングにて。熊が頻繁に出没するベアーカントリーと呼ばれるエリアでは、大型の熊対策用のペッパースプレーを携行します。

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アメリカ・アカ鹿。一般的にはエルクよ呼ばれる、背丈2mにもなる大型の鹿。グランドキャニオンにて。

朝靄にかすむ美しい景色は、早起きした者だけの特権。「早起きは三文の徳」とはよく言ったもので、多くはこの時間に熊やエルクといった大型の動物に遭遇します。動物を見られなくても、大自然の中での早朝ランは気持ちの良いもの。一日中、充実した爽快な気分が続きます。
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殆どの国立公園では、観光客が車やバスでアクセスできるエリアはほんの一部です。大部分はバックカントリーと呼ばれる、自らの足でしか入れない広大な大自然。川や渓谷といった貴重な自然を環境破壊から守るためには、その水源となる数多くの河川や、雪を湛えた頂など、動物の生態系を守るための広大なエリアを指定地域として、保護に努める必要があります。1872年に世界で始めて国立公園に指定されたイエローストーンや、それ以前の1864年に自然保護地区に指定され、その後1890年に国立公園となったヨセミテも、そのコンセプトに基くものです。

氷河が作り上げた芸術、ヨセミテ国立公園でのハーフドーム登頂記はこちら

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イエローストーン、ヘイデン・バレーにて、鹿の群れに混じって水を浴びるバッファロー
 

多くの自然愛好家がお気に入りのひと時を過ごす、野生動物溢れる国立公園ですが、人のためと言うよりは、貴重な自然をありのままに残すのが主目的。そこには、植物や、そこに暮す動物など、あらゆる自然の生態系を乱さないというコンセプトが明確に息づいています。入園料を徴収し、観光客用の施設を作るのと相反する様にも見えますが、美しい自然を多くの人が体験出来る機会を提供する事により、その重要さを理解して貰う事も大事な役割のひとつ。国立公園の管理運営や、自然保護のための国からの資金援助が逼迫している昨今、入園料は以前にも増して貴重な財源となっています。

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自動車で簡単に乗り入れる事ができる手軽さも、国立公園の魅力のひとつですが、人間は動物が闊歩する自然の中に、あくまでもゲストとして参加させてもらっている身分です。拠って、食べ物を与えたり、不用意に食べ残しを放置するのが禁止されているのは勿論の事、一部のバックカントリーでは、犬の後始末のごとく、自分の排泄物の持ち帰りを義務付けるところもあります。バックカントリー・オフィスにてハイキングやキャンプの許可証を貰うときに “それ” 用の袋が支給され、用を足した後は、ちゃんと持ち帰ってくるようにと念を押されます。

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熊対策が施された頑丈なロッカーが各キャンプサイト配備
 

キャンプサイトでは熊対策用のメタル製の頑丈なロッカーが用意してあり、食料のみならず、歯磨き粉や石鹸など美味しそうな匂いのするものは、全てロッカーに保管する必要があります。食べ残しやゴミををテーブルに残すのはご法度、罰金の対象となります。
 

その昔、キャンプサイトで食事中が終わって、不用意にも後片付けをせずに、ぶらっと近所を歩いて戻ってくると、テーブルの上に警告書が置いてあった事がありました。それを持ってレンジャー・ステーションに出頭。罰金は間逃れたものの、減点1を警告されました。アウトドア・マンとしては、かなりイケてない・・・反省。

 

更に、同じ日の夜のこと、テントで寝ていると車のアラームが急に鳴り出しました。静寂の中でのアラームの音量の大きいこと。何事かと思いながらも、先ずはリモートコントロールでアラームを切り、恐る恐るテントの外を見ると何も見当たらず。一安心。翌朝、車を見ると埃まみれの自動車後部の窓部分に大型動物の手の跡がハッキリと残っていました。どう見ても熊。車の中を探すと、子供たちが残したと思われる幾つかのキャンディーをドアのポケットに発見。おそらく、この匂いを嗅ぎつけて来た熊が車を覗き込み、アラームの音でビックリして逃げて行ったものかと。危なく家族揃って熊に襲わるところ。自動車のアラームのお陰げで難を逃れてホッと胸をなで下ろしたという苦い経験があります。

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ヨセミテのグレーシャーポイントで観光客が置き忘れたバックパックを漁るブラックベアー

 

この時は、ニアミスで済みましたが当然、これらの動物に襲われるケースも在ります。統計では、全米で熊に襲われて死亡に至る事故は、年間4件程度。かなり低い確率です。一方、ヘラジカ(ムース)やバッファローに近寄りすぎて弾き飛ばされ、大怪我をするケースは多々在るようです。ある意味、サファリパークの中にいるようなものですから、危険と隣り合わせ。
 

リスやアライグマは可愛いい顔をしていますが、かなり凶暴なものもいます。引っ掻かかれたり、噛まれたりすることで妙な菌が入り、大事に至ることもあります。また、食料の入ったバックパックやテントは、齧られて穴を開けられる事も頻繁にありますので充分ご注意を。

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朝食中のビッグホーンシープ、グランドキャニオンにて
 

自然の中で過ごすひと時は、動物たちが生息している山や森に、一時的にお邪魔している、即ち動物優先である事を忘れずに、素晴らしいアウトドアをエンジョイしてください。私自身も、罰金を食らわないように(っていうか、生態系を乱さないように)今後、充分気をつけます・・・

イエローンストーンで傷ついたグリーズリーベアーとの神秘的な遭遇ストーリーはこちら。


By Nick D.